田端のその言葉で、紅も今夜の懇親会の目的を理解した。
「なるほど。私たちはキューピッド役ですね。ぜひ、協力させてください」
紅は微笑んだ。
陽菜が実は三木に憧れていることを本人から聞いて紅は知っていた。お互いに好感を持っているのだから、きっと楽しい懇親会になることだろう。
その日は仕事を早めに切り上げて、紅は田端と陽菜とともに懇親会の会場に向かった。
「六本木って……なんか気合い入ってますね」
いつもの課の飲み会は市庁舎から徒歩五分のチェーン居酒屋と決まっているのだが、今夜はわざわざ電車に乗って移動する必要があった。
「俺じゃなくて、あっちの課の奴が予約したんだよ。六本木って知ってたら、さすがの俺もこんな靴でこなかったのに……」
田端は片足をひょいとあげる。見れば、靴の底がぺろっと剥がれかけていた。紅は眉をひそめて言う。
「六本木でなくても、社会人としてそれは修理すべきだと思いますけど」
「いや~、雨がしみこんでくるまではいいかなって」
「よくないですよ」
他愛ないお喋りをしながら、お店を探す。陽菜は緊張しているようで、口数が少なかった。
「あった、あそこだ。なんか派手そうな店だな。俺たち場違いじゃないか?」
「なるほど。私たちはキューピッド役ですね。ぜひ、協力させてください」
紅は微笑んだ。
陽菜が実は三木に憧れていることを本人から聞いて紅は知っていた。お互いに好感を持っているのだから、きっと楽しい懇親会になることだろう。
その日は仕事を早めに切り上げて、紅は田端と陽菜とともに懇親会の会場に向かった。
「六本木って……なんか気合い入ってますね」
いつもの課の飲み会は市庁舎から徒歩五分のチェーン居酒屋と決まっているのだが、今夜はわざわざ電車に乗って移動する必要があった。
「俺じゃなくて、あっちの課の奴が予約したんだよ。六本木って知ってたら、さすがの俺もこんな靴でこなかったのに……」
田端は片足をひょいとあげる。見れば、靴の底がぺろっと剥がれかけていた。紅は眉をひそめて言う。
「六本木でなくても、社会人としてそれは修理すべきだと思いますけど」
「いや~、雨がしみこんでくるまではいいかなって」
「よくないですよ」
他愛ないお喋りをしながら、お店を探す。陽菜は緊張しているようで、口数が少なかった。
「あった、あそこだ。なんか派手そうな店だな。俺たち場違いじゃないか?」



