「立花モモも女優は厳しいんですか? あんなに美人なのに」

 なんとも彼らしい直球の発言だ。

「五分五分ってとこじゃない?」

 宗介は苦笑しつつ、正直に答えた。大地は驚いたと言わんばかりに、あんぐりと口を開けた。

「めっちゃ評価高いじゃないっすか。さっきひと握りもいないって言ったのに」
「そりゃ、当たり前だろ。評価してなきゃ、大事なキャンペーンに起用しないよ」
「いまの話、彼女に伝えていいっすか? 喜ぶと思うから」
「……さっき直接伝えたつもりだったんだけどな」

 宗介は笑って、部屋を後にした。

 紅のマンションに帰ると、彼女が笑顔で出迎えてくれた。それだけで疲れが吹き飛ぶ気がした。

「お疲れさま。接待続きだったって聞いてたから、あっさりめの和食を用意してあるけど食べられそう?」
「ありがたくいただきます!」

 結局、紅にメールを送る余裕はなくて和食のリクエストはしていなかったのだが……宗介の願いは奇跡的に紅に届いていたようだ。
 かぶせ気味に宗介が答えると、紅はふふっと花がほころぶように微笑んだ。

「宗くん、いっぱい食べてくれるから作り甲斐があって私も嬉しい」