宗介がいつも絶賛している雅は、噂通りのできる女だった。でも、紅にも優しく接してくれて、紅はほっと息をついた。なんとなくだが……彼女に嫌われたら、麻子や莉子なんて目じゃないくらいに苦労しそうだったからだ。

 色打掛に着替えるための退出のエスコートは、晶が引き受けてくれた。緊張し過ぎて手と足が同時に出てしまっている弟がかわいすぎて、紅は笑いをこらえるのに必死だった。

 披露宴も終盤にさしかかった頃、新郎新婦のサプライズアンケートの結果発表があった。披露宴では比較的定番の、「お相手の好きなところは?」みたいなやつだ。司会の女性から事前にヒアリングがなされていて、お互いに内緒で答えてあった。
 宗介の回答には予想外のものもあったりして、意外とドキドキだ。

「では、次の質問です。プロポーズはどちらから?」

 少し間を開けて、司会の女性が答えを発表する。

「あら、これはちょっと面白い回答でした。おふたりとも、自分からとのお答えです」

 会場が少しざわつく。司会の女性が司会席を離れ、こちらに近づいてくる。

「これはどういうことなのか、新郎の宗介さんに聞いてみたいと思います!」