胃が痛くなりそうな緊張感を抱えながら、紅は客間に足を踏み入れた。桂木家の客間は、大正浪漫風の重厚なインテリアがとても素敵で、名だたる画家の作品がギャラリーのように飾られているのだが……それらを楽しむ余裕は紅にはなかった。なぜなら、足を踏み入れた瞬間に、パアーンという小気味よい音とともに目の前でクラッカーが弾けたからだ。
「えっ……と」
状況がまったくのみこめず、呆然とする紅。さすがの宗介も想定外だったのか、唖然とするばかりだ。
「紅ちゃん、宗介、ハッピーウェディング!!」
テンションの高い明るい声が飛んでくる。宗介の母の麻子のものだ。部屋を見渡せば、まるで子供の誕生日パーティーのような飾り付けまでなされていた。客間の真ん中に置かれたアンティークなマホガニーのテーブルの上には、三段重ねのウェディングケーキまで用意されているから驚きだ。
「母さん、ちょっと……先走りすぎ」
宗介は渋い顔でこめかみを押さえた。
「えぇ~どうしてよ? 朝からはりきって、準備したのに。莉子ちゃんにも手伝ってもらったのよ」
麻子の後ろで、莉子が気まずそうにこちらを見ている。
「莉子も、祝ってくれるの?」
宗介が苦笑しながら言うと、彼女はますますむっとした顔になる。
「居候だもの。お手伝いくらいはするわよ」
「えっ……と」
状況がまったくのみこめず、呆然とする紅。さすがの宗介も想定外だったのか、唖然とするばかりだ。
「紅ちゃん、宗介、ハッピーウェディング!!」
テンションの高い明るい声が飛んでくる。宗介の母の麻子のものだ。部屋を見渡せば、まるで子供の誕生日パーティーのような飾り付けまでなされていた。客間の真ん中に置かれたアンティークなマホガニーのテーブルの上には、三段重ねのウェディングケーキまで用意されているから驚きだ。
「母さん、ちょっと……先走りすぎ」
宗介は渋い顔でこめかみを押さえた。
「えぇ~どうしてよ? 朝からはりきって、準備したのに。莉子ちゃんにも手伝ってもらったのよ」
麻子の後ろで、莉子が気まずそうにこちらを見ている。
「莉子も、祝ってくれるの?」
宗介が苦笑しながら言うと、彼女はますますむっとした顔になる。
「居候だもの。お手伝いくらいはするわよ」



