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「彼方くん、本当にありがとね。すごく楽しかったわ」


あっという間に1週間が経ってしまった。
時間が経つのが嫌な時ほど早いのはなんでなのだろうか。

玄関で私たちと向き合っているのは2人。

彼方くんと……


「春ちゃんごめんね。本当に助かったわ。一華ちゃんと日佳くんもありがとう」


海外から帰ってきた彼方くんのお母さん。

彼方くんのお母さんは本当に綺麗な人だった。
大きいクリっとした二重の目にピンクブラウンのキラキラのアイシャドウが上品にのってて。筋の通った高い鼻に、ぷるぷるの赤い唇。肌は毛穴ひとつなく真っ白ですべすべ。センターで分けられたフワッと巻かれた前髪に胸下まで伸びたストレートで艶々なロングの髪。

……これは、遺伝子だ……。
と言葉を失う。そりゃ、彼方くんがこんなにもかっこよく育つわけだ。

悲しくて泣いてしまったらどうしようと、昨日の夜から考えていたことが吹き飛ばされた。
だって、本当に可愛い人なんだもん……っ!

お母さんに、こんな綺麗な友達がいたとは……。


「いーのよ麗(れい)。私すっごく楽しかったから」