掴まれた腕を引っ張られ、辿り着いたのはやっぱり彼方くんの部屋。

ガチャ、とドアを閉めると、ふわりと彼方くんの香りが広がって、目に映るのは彼方くんの綺麗な瞳。


「んん…っ」


キスされているんだとわかり、顔に熱が溜まっていく。心臓が激しく動いて音が響く。

触れるだけの優しかったキスがどんどんと深くなり息が荒くなっていく。


「は…っ、ま、まって……っん」

「待たない」


近くで私を見つめる彼方くんの瞳は熱を帯びていて。


「ふぁ……っ」


所々漏れる声が、高く甘くて自分のものとは思えない。

しん…と静まり返った彼方くんの部屋には、リップ音と乱れた息、私のうるさい心臓の音しかなくて恥ずかしい。