「ちょ、彼方くん……っ」


その手は私の頬を撫で、どんどん下に下がっていく。
な、なんか……っ、くすぐったい……っ。


「…っ、ん」


彼方くんの手は首のラインをなぞり、鎖骨に落ちる。
は、恥ずかしいよ……っ。
顔が熱い、なんかよく分からないけど恥ずかしくて意味もない涙が目に溜まる。


「…っ、か、彼方くん……っ、くすぐった…っ」


そう言って彼方くんを見上げるとピクっと手が止まる。
な、なんか……声が変…恥ずかしい……っ。
ギュッと目を強くつぶると、ポンっとさっきまでの手が頭に置かれた。


「…っ、はぁ、ほんと可愛い」

「…へっ」


彼方くんは私のほうを見ずにもう片方の手で顔を覆っていた。


「……危な、手出すとこだった」

「え?手…?」


彼方くんの言ってること、たまによく分からない……。
そのまま私の頭を撫でてくれる。
やっぱり安心する……。

なんか嬉しくてふふっと笑うと、彼方くんは「…っ、ばか」と言い、私の頭から手を離した。