2人で家までの道のりを歩く。やっぱり彼方くんはずっと私の手を握っていた。
一日って早いなぁ、もう終わっちゃったのかぁ。


「すっごく楽しかったね、彼方くん」

「そうだな」


また行きたいなぁ彼方くんと絹ちゃんと片瀬くんと。
ふふって笑いながらスキップする。


「彼方くんも、今日たくさん笑ってたねっ」


彼方くん今日楽しそうだった。
最近は彼方くんの表情の変化がわかるようになってきたから、周りの人から見たら無表情かもしれないけど、目がすごく輝いていたというか優しかったというか。

彼方くんはそう言った私を見て


「一華がずっと可愛いから、楽しかった」


と真剣そうに熱の帯びた目をして私を見つめる。
ま、また可愛いって言った……。


「このうさぎの耳も、一華がつけるともっと可愛いし、笑顔も声も全部」


全部可愛い……と私を見て甘く微笑む。
もう辺りは暗くて、彼方くんの顔はよく見えないはずなのに、そこに月の光と周りの家の電気が差し込むから、彼方くんが全く知らない人みたいで、心臓が騒がしい。

この人はなんでこんなにも優しく甘く笑うのだろう。私はなんでこんなにドキドキするの……?

胸の奥がキュッとなる。

私は彼方くんの手を強く握りしめていた。