──カシャッ。
「……ありがとうございました。後で送りますね」
「いえいえ、よろしくお願いします」
隣に目を向けた瞬間、顔を逸らされてしまった。
画面越しだから気づかなかった。
めちゃめちゃ顔真っ赤になってる。
……ちょっと強引だったかな。
笑顔もぎこちなかったし。
「あ、ちょっと待って!」
「はい?」
「腕組んでいい?」
「はい……え?」
人混みの中に入ろうとする彼を呼び止めた。
「ごめん、変な言い方して。もしはぐれたら、血眼になって捜すでしょ?」
迷路で必死な顔で腕を掴んでいた透瑠くんを思い出し、お願いしてみた。
手を繋ぐのはあれだから、軽く組むぐらいならいいかなと思ったんだけど……。
「腕……腕……っ⁉」
目をまん丸にして固まってしまった。
少し引いていた頬の赤みが再び濃くなっていく。
……やってしまった。
困らせようとしてるわけじゃなかったんだけど……腕はハードル高かったか。
せめて袖にすれば良かったかな。



