小動物な後輩君の愛が深すぎる

「清花ちゃん、浴衣似合うね~」

「あっ、ありがとうございます!」



乗車して1分も経たない間に、早速透瑠パパからお褒めの言葉をもらった。

すると……。



「あの……」

「ん?」

「…………てます」

「へ? 何?」



褒め言葉に気分を良くしていると、透瑠くんが突然ボソッと呟いた。
聞き取れなかったので耳を近づける。



「……浴衣、似合ってます」



視線を上げた先に彼の顔があって、胸がトクンと脈を打った。

薄暗くてもわかる、赤らんだ頬。

浴衣姿というのも相まって、表情がいつもより少し色っぽく見えた。



「あ、ありがとう……透瑠くんも似合ってるよ」

「……ありがとうございます」



パッと距離を取って彼に背を向ける。


お揃いが嫌って思われてなくて良かったけど……親が目の前にいるのになんて顔するの。

でもきっと私も同じ顔してると思う。


……透瑠くん、あんなに声低かったっけ。


多分ドキッとしたのは、耳元で囁かれたから。大人っぽい顔してたから。

……だと思いたい。