あー……冷房にやられたのか。
昔から繊細なの変わってないなぁ。
よく季節の変わり目に体調崩してたもんね。
「う……あっ……」
「だ、大丈夫⁉」
限界がきたのか、透瑠くんは膝から崩れ落ちてその場でうずくまってしまった。
周りを見渡すも、誰もおらず、自分しかいない。
「……乗って」
「すみません……」
歩けそうにもない彼をおんぶする。
うっ、けっこう重い。もう高校生だもんな。
刺激にならないよう気をつけながら、急いで保健室へ向かった。
◇
「失礼します」
「お、青石さん。え、その子どうしたの?」
「体調悪いみたいで……少し震えてます」
「わかった。こっちへ」
ベッドまで運び、ゆっくりと下ろす。
毛布をかけてあげると、猫のように丸まってしまった。
「お腹痛いんなら、これ当てときな」
「ありがとうございます……」
細い声で返事をした透瑠くんは、毛布の中から手を伸ばして湯たんぽを受け取った。
良かった。少し震えが収まったみたい。



