ですよね。だんまりなら、こっちに飛んできますよね。
なんて答えよう。
透瑠くんがあんな様子じゃあ、今更嘘ついても意味ないし……。
「あの……ちょっとギリギリのところにいて。起きた時すごく慌ててたので、それで真っ青になってたんだと思います」
決定的な言葉は省略して説明した。嘘は言ってないので大丈夫なはず。
「ギリギリ……あぁ~、なるほど! 柵ギリギリだったってことね!」
「言葉足らずですみません。思い出させると悪いと思って……」
「ううん! 落ちなくて良かったわね透瑠」
「……ん」
短い返事が聞こえた後、パチッと目が合った。
恐らく、ありがとうって意味だろう。
ふぅ、なんとか乗り切れた。
◇
「あの、さっきはありがとうございました」
サービスエリアで昼食を購入し、車に戻る途中で透瑠くんが口を開いた。
「機転利かせてくれてありがとうございました。助かりました」
「いえいえ。あぁ言えば追及されないだろうなって思ったから」
「ハハッ、高所恐怖症が役に立つとは思いませんでしたよ」



