……なるほど、綺麗系の顔立ちだから、無表情だと余計に怖いってことか。
っていうか、単に目がつり目で黒髪なだけなんだけど。
昔から近寄りがたいって言われることは多かった。
けど、こうやって面と向かって怖いと言われたのは初めてだったから、ちょっとショック。
「怖がらせたんならごめんね。別に怒ってるわけじゃないから」
「うん……」
精一杯の笑顔を浮かべて謝るも、まだ少しビビっている様子。
……もうちょっと雰囲気が柔らかくなれたらなぁ。
◇
──昼休み。
隼からハンバーガーが買えたと連絡が来たので、早速彼のクラスへ足を運ぶ。
お弁当も持ってきてるけど、今日の5時間目が自習だから、先に課題を終わらせて、その時にトマトバーガーを食べよう。
軽い足取りで歩いていると、トイレから1人の男子生徒が出てきた。
具合が悪いのだろうか、壁に手をつけながら歩いている。歩き方もぎこちない。
目を凝らすと、少し震えているようにも見える。
どうしよう、声かけたほうがいいかな。
それか私欲を優先して、気づかないふりをするか……。



