小動物な後輩君の愛が深すぎる

「ちょっと、なんで離れるの? 酷いなぁ」

「いやいや! 両想いになって、まだ1時間ぐらいしか経ってないよ⁉ 早くない⁉」

「そうだけど……実際は両片想いだったわけだし。ダメ?」



うっ……そんな潤んだ目で見つめないでよ、言わないでよ。

私がその眼差しに弱いの知っててやってる?
本当あざといなぁ。



「清花さんはキスしたくないんですか?」

「そういうわけじゃ……さっきは学校だったから嫌って言っただけだよ」



さっきは保健室だったとはいえ、隼達みたいに窓から覗かれたんだ。

ふたりっきりになれる場所でも、学校は不特定多数の人がいるんだから、キスなんてできない。


今はお母さん出かけているから、完全にふたりっきりだけど……。



「まだ心の準備ができてないとか?」

「……うん」



友達関係から恋人関係になって、たった1時間でキスするなんて心が追いつかないよ。



「そうですか……」

「あっ、でも顔以外ならいいよ」

「えっ、本当?」



そう答えると、シュンとした表情から瞬時に瞳を輝かせた。


恥ずかしいけど、手の甲ならいいかな。

彼の前に手を差し出した。