立派な男か……。

ここから下はお茶をこぼしたのか、(にじ)んでいて読めない。

あ、ここだけなんとか読めそう。



「えーっと……?」



『夜中にとおるがベッドから落ちる音がして、心配になって部屋をのぞいたら、幸せそうな顔で枕を抱きしめて、寝言できよかの名前をつぶやいてて、その後、「好き……」って……』



「……はぁぁぁぁ⁉」



なっ、名前を呟いてたって……嘘だろ⁉

ってか……す、す、好きって……。



「嘘だ……嘘だ……!」



でも、初めて会った日の夜……清花さんが夢に出てきたのは今も鮮明に覚えている。

ってことはやっぱ……。



「どうしたの⁉ 大丈夫⁉」

「あっ……すみません」



叫び声が聞こえたのか、清花さんが慌てて戻って来た。

一旦お茶を飲んで、高ぶった感情を落ち着かせる。



「全部読みました。ありがとうございました」

「いえいえ。お疲れ様」



あれだけ拒否した理由がわかった。さすがにこれは簡単に見せられない。

隼くんと樹がどこまで見たのかはわからないけど……俺のプライドを守ろうとしてくれてたんだ。