怜也くんが話してくれた、透瑠くんの私への気持ち。
好意を持たれているのは、以前から薄々感じてはいた。
けどそれは、単に姉の友達、学校の先輩として慕っているだけだと思っていた。
でもある日──思いもよらない形で透瑠くんの気持ちを知ってしまったんだ。
それからというもの、気持ちを確かめたくて、仮装の日に会った時、ちょっと試してしまった。
そしてこの前。
気持ちを知っていながら、軽率な行動でとうとう傷つけてしまった。
先生とのこと、帰り道に説明しておけば。
チョコを届けに来た時、引き止めてでも説明していれば……気まずくならずに済んだだろうに。
透瑠くんがどんな思いでこのチョコレートを作って渡しに来たのか、どうして考えなかったんだろう。
◇
「青石先輩、おはようございます」
「あ、樹くん。おはよう」
月曜日の朝。
重い足取りで登校中、樹くんとバッタリ出くわした。
樹くんはバレンタインに彼女とデートしたらしく、スイーツバイキングでケーキをたくさん食べたんだって。
平和でいいなぁ……。



