小動物な後輩君の愛が深すぎる




バレンタインデーの午後2時。




「こんにちは……」

「こんにちは透瑠くん」



約束通りやって来た透瑠くんは大きなバッグを持っていた。

わっ、甘い匂いが漂ってる。



「これ、バレンタインのチョコです」

「ありがとう」



袋から箱が出てくると、甘い匂いがよりいっそう強く漂った。



「じゃあ俺はここで」

「えっ、もう行っちゃうの?」

「はい。ゆっくり味わってくださいね」



彼はあっさり言い残すと、自転車に乗って帰ってしまった。

えっ……本当にチョコを届けに来ただけ?
こっ、告白しに来たんじゃなかったの……⁉


部屋に戻り、箱を開ける。

これ、ガトーショコラじゃん。めちゃめちゃ美味しそう。


一口大に切って口に運ぶと、しっとりとした食感が口の中に広がった。


『「あんなに可愛い笑顔でお菓子渡しているの見たら、自信なくなってきた」って言ってたよ』