挨拶してもらえて嬉しそうな怜也くんを横目でチラリ。


この2人は同じ中学出身で、怜也くんは菫にずっと片思いをしている。

知り合って5年目だけど、今の関係が崩れるのを恐れて、なかなか気持ちを伝えられないのだそう。

焦れったいなぁ~。



「綿原さんだ~。めっちゃ可愛い~」

「天使だ……」

「マジスタイル抜群」



3人で会話しながら歩いていると、同校の男子生徒達が、こちらをチラチラ見て話している声が聞こえてきた。

聞こえてないと思ってまたヒソヒソと……。



「清花、顔怖いよ……」

「あ、ごめん」



しまった。いつもの癖で。


去年、見知らぬ男の先輩達に絡まれて泣いていた菫を見て以来、彼女を守るように、ヒソヒソ噂する男子達を威嚇するようになってしまった。


実を言うと、菫を助けに行った時に、自分も男子に捕まって怖い思いをしたんだよね……。

だから、ちょっぴり自己防衛を兼ねているのもある。