放たれた言葉を耳にした瞬間、ゴンと頭を鈍器で殴られたような感覚がした。

突然の発言に頭が追いつかず、脳内がグラグラぐるぐる揺れて、軽くパニックを引き起こしている。



「私……智恵理さんに酷いことをしてきました。本当にごめんなさい」

「っ……」



一向に顔を上げない彼女。
その下の地面には小さなシミができている。

それが涙の跡だとわかると、一気に感情が込み上げてきて、ギュッと拳を握った。



『そのアザどうしたの……?』

『あぁ、部活で転んでできちゃった』

『マジで? そんなにたくさん?』

『マジ。運動部はこういうのよくあるんだよ』



『姉ちゃん、これ廊下に落ちてた』

『あっ……ありがと』

『……運動部ってそんなにサポーター要るんだね』

『あー……まぁね。私は毎日練習してるからすぐボロボロになっちゃうの』



「ふざけんな……っ、なんで……なんで今更なんだよ‼」

「……ごめんなさい……っ!」



姉とのやり取りが走馬灯のように甦ってきて──気づいたら俺は彼女の両肩を掴んでいた。