透瑠side



「水沢~! めっちゃ似合ってんじゃん!」

「写真撮ろうぜ!」

「私も撮りたーい!」



10月下旬の金曜日。
中間テストが終了し、仮装イベントの日がやってきた。

いつもはテストが終わったら開放的になるはずなんだけど……今回ばかりは気分が晴れるどころか、どんよりと曇っている。



「マジ超可愛い。推薦して良かった~」

「水沢くん、前世うさぎだったんじゃない?」

「ここまで似合うんなら、女装も似合いそうじゃね?」

「……うん、充分イケるな」



写真を撮ったクラスメイト達が次々と感想を述べていく。


おい、なんか後半恐ろしいこと言わなかったか?

今でさえ精神ギリギリなのに、マジなトーンで頷くのやめてくれよ。
実現しちゃったら、また姉ちゃんに夢でからかわれるって。

はぁ……今も天国からノリノリでバシャバシャ写真撮ってるんだろうな。


あ、ちなみにもう1人の代表者は……。



「透瑠、そろそろ行こう」

「おぅ」



クマの着ぐるみを着た樹にかごを渡され、一緒に指定された教室へ。

樹も俺と同じでクラスメイト達から推薦されたのだ。