「んー、ちょっとお腹いっぱいで」
「え? そのわりにはモリモリ食べてる気がするけど……何かあった?」
モグモグと口を動かしながら、怜也くんの目をじっと見つめる。
高校に入ってから仲良くなった怜也くん。
お調子者だけど、実は周りをよく見ていて、ちょっと鋭いところがあるんだよね。
「実はさっき……──」
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「ありゃ、口止めされてたんだ」
「そうなの! 私にだけ黙っててさぁ」
説明を終えて、トマトバーガーを口に詰め込み、残りの問題を解く。
会えて嬉しかったのに、なんか自分だけ除け者にされたみたいで悲しかった。
「その子って、例の友達の弟くんなんだよね? もしかしたら、言いにくかったんじゃない?自分の顔見たら、当時のこと思い出すんじゃないかなって」
「それなら、私だけじゃなくて隼も当てはまるよ」
中学時代の親友で、透瑠くんのお姉さんでもある智恵理は、隼と同じ小学校出身。
教室でハンバーガーの話をしていたふたりに思い切って話しかけて、そこから仲良くなった。



