小動物な後輩君の愛が深すぎる

「なになに? 遺書か何か?」

「俺にも見せてくださーい」



隼くんと樹が清花さんの後ろに移動し、紙切れを覗き込む。

遺書か。俺ら家族には何もなかったのに。
清花さんには書いてたのか?



「あの、俺にも見せて……」

「ダメ‼」



見ようと近寄ると、ものすごい勢いで避けられた。



「え……なんでですか」

「これはダメ‼ 見せられない‼」



質問に答えず、(かたく)なに拒否し、急いで紙切れを折り畳み始める清花さん。

隼くんと樹はいいのに、なんで俺はダメなの⁉
ってか、母さんも見たはずだよな⁉


……そこまで言われると、逆に見たくなるんだけど。



「あ! ちょっと! 待ちなさい!」



ポケットに入れようとした隙を狙って紙切れを取り、自分の部屋に駆け込む。



「っ……返して!」

「俺家族なんだからちょっと見せてよ!」

「弟でもダメなの!」



ドアを閉めようとしたけれど、ガッチリ押さえられてしまった。

隙間から覗く顔はまさに鬼の形相。

弟でもダメってどういうことだよ……!
たかが紙切れなのに、そんなに怖い顔しなくてもいいじゃん……!