予想外のセリフだったのか、「……は?」と声を漏らしただけで、利人は一向に返事をしてくれない。
言えないようなことまで、してるってこと?
想像しただけで、もーだめ。
利人の相手は、勝手にアヤノさんで脳内再生されるから余計にだめ。
「利人が裏で遊んでるってウワサ聞いたの……、それがほんとなら、あたし経験ないから、利人のこと、あんまり満足させられないかも、って……思って……」
沈黙の圧に負けて、つい余計な言葉まで飛び出してしまう。
言い切った瞬間、胸がつまって、ちょっと泣きそうになった。
やがて降ってきたのは、長いため息。
「べつに、お前に他の女みたいな役割一切求めてないから」
さっきまでと打って変わって冷たい声に、すっと体温が失せていく。
────求めてない。
わずかでも必要とされた気になっちゃったけど、そうだよね。そんなわけない。
利人は最初から、べつにあたしに期待なんかしてないんだ。
「……利人のバカ」
今度こそ、じわりと涙が滲んだ。
「あたしでも、ようやく利人の役に立てるかもって、思ったのに……」
「っ、……は?」
利人があたしの目を覗き込む。



