昇降口まで無言だった。

校門を抜けてからも無言だった。


あたしがなにか言わない限り、利人が話題を振ってくることはあんまりない。



「利人、今日も疲れたね」

「主にお前のせいでね」


「………」

「………」


「午後の授業、ぜんぜん寝れなかったんだよね」

「………」


「なんで寝れなかったかって言うとね、教科書見せてもらうために斉藤くんと机くっつけてて」

「………」



利人がなんにも話さないから、あたしがどーでもいいことをつらつらと話すしかない。



「机くっつけるのって小学生以来だからさ、なんか、こんなに近かったっけ?みたいな……」



でも、反応ナシ。

利人っていつも、あたしの話つまんなそーに聞くよね。



「なんで、俺にわざわざそんなこと言うわけ」

「……、他におもしろい話なくて」

「まったく何もおもしろくないけど」