みんなの視線が集中する。
もうやだ〜っ、いたたまれない!
「あははっ、菜結ちゃん勢いよすぎ」
「うう……今のは見なかったことにして斉藤くん」
「はいはい。じゃあまた明日ね菜結ちゃん」
斉藤くんに手を振って、それから逃げるように教室の扉に向かう。
扉をくぐる直前、
「栗田さんウザいよねー」
って、女の子の声が聞こえた。
「金持ちの令嬢じゃなかったら、利人くんに絶対相手にされないくせに」
「まじそれ」
聞こえるようにわざと大きく言ったんだと思う。
こーいうことは今までもたくさんあった。
いい加減慣れてもいいはずなのに、自分の悪口を聞くたびにすぐ目頭がじわーっと熱くなる。
悲しくなる理由は、言われてることのほとんどがその通りだから。
あたしがお金持ちで幼なじみじゃなかったら、絶対相手にされない。……間違いない。



