机をくっつけて座るより何倍も近い距離。
首から上に熱が集まるのがわかった。
「教科書忘れたら俺に連絡するって約束は?」
「っ、……それは」
「勝手なことばっかして。俺の言いつけ破ったのこれで何回目? お仕置きしてやんないとわかんない?」
「し、知らないっ、要らないっ」
ていうか、こんな利人も知らない!
意地が悪くて口もほどほどに悪くて、あたしの扱いが雑なのが土屋利人なの。
こんな風に……なんていうか……うまく言えないけど、なんか今日の利人……へん。
利人は体を離すと、あたしのスクバを持ち上げて、さっさと教室を出ていこうとする。
「あ、ちょっと待って!」
立ち上がる勢いがよすぎたせいで、ガチャン!
と後ろの机に椅子を派手にぶち当ててしまった。



