さらにそれとほぼ同時、教室内に声にかすかなどよめきが広がった。

声にはならないけど、小さく息をのんだり、「え、」とこぼしたりするあの感じ。




そこに利人が立ってた……だけなら、そうはならなかった思う。



土屋利人があたしの教室にいるのは、みんな見慣れた風景。

今日も同じように、あたしの教室に利人が現れたわけだけど。



その隣に……



「書紀のアヤノちゃんじゃーん」



男子の1人がやや興奮した声をあげて。



「うわあ、お似合いコンビが来た……」



続いて聞こえてきた女子の声に大ダメージを受けて固まる。



利人、なんでその人と一緒に来たの。



席替えをしたせいで、まだあたしの位置に気づいてないらしい利人は教室を見渡す仕草をする。



「ねえ、斉藤くん」


思わず隣にあった制服を引っ張って、その視線から逃げてしまった。