キーンコーン……──────


5、6限目は斉藤くんのおかげで無事に終えることができて、放課後を迎えた。



机を離すタイミングがわからなくてそのままにしておいた結果、終礼が終わった今でもくっついたまんま。


机くっついてるって、思ったよりすごい距離が近かった。

耳を澄ますと、息づかいとか聞こえるもん。

小学生の頃はこれが普通だったんだよね……。なんていうか、あたしたち、おっきくなったんだなあ。


高校生ともなると、この近さは……相手が誰であろうと多少は意識せざるを得ない気がする。


もし授業中、利人が常にこの距離にいたらぜったい落ち着かない。



「……菜結ちゃん?」

「なーに?」


「いや、オレのことじっと見てどうしたのかなーと思って」

「っ、ごめんね。ぼーっとしてた」



いっけない。
斉藤くんのこと凝視したまま考えごとしちゃってた。



「そういえば斉藤くん頭いいんだね。数学の問題すぐ解いちゃうんだもん、びっくりした」



慌てて関係ない話題を振ったと同時、教室の後ろ扉が開く音がした。