……なんだったんだろう。

手を繋いで登校したのなんて、小学生以来。



あたしが愛されたいって言ったから?


『叶えてやる』って言ったのは、あたしを手っ取り早く黙らせたかったからだと思ってたけど……。

まさか、本気で叶えてくれようとしてる?


そんなの要らないよ。
義務的に愛されても虚しくなるだけだもん。



「菜結」


昇降口にて。

上履きに履き替えた利人が、あたしを呼んだ。



「今日は一緒に帰ろ」

「……、え?」

「迎え行くから教室で待ってて」



しばらくぽかんとした。

隣に木村くんがいるからか、そこに立ってたのは、口調も笑顔も柔らかな“生徒会長”の利人だった。