やっぱりね、こんなに苦しい気持ちになるなら諦めたほうがラクなのかも。
女の子だもん。
あの漫画みたいに、これでもかってくらい「好き」って言われたい。
もういいってくらい激しく愛されたい。
利人は、それを叶えてくれない……。
「あのね、あたし斉藤くんと付き合うんだよ」
自暴自棄になりすぎ、かも。
突っ走りすぎ、かも。
でも、このままじゃみじめだもん。
いちばん愛されたい時期に片想いってつらすぎるでしょ。
振り向いてくれない相手をいつまでも待つなんて、ドエムでもなきゃ耐えられないの。
ドク、ドク……。
相手の反応を待つ。
5秒、6秒、7秒──────。
いつまで経っても返事をくれない利人。
歩くスピードは変わらない。
もしかして、聞こえなかった?
そんなはずは……と、恐る恐る見上げようとしたとき。
「だめ、」
抑揚のない声が鼓膜を揺さぶって。
それと同じタイミングで、左手に、低めの体温が伝わった。
「そんなセリフ……二度と言わないで、菜結」



