ぽかんと見上げても、能面利人の表情が変わることはなく。

ただ、ほんの少しだけ影が落ちた……気がした、ような、しなかったような。



「昨日は、その友だちを置いて教室出ていったよね、お前」

「……いや、昨日は、」

「でもまあ、そのあと斉藤が追いかけて行ったから、いいか……と思って見てたけど」



……そっか。
斉藤くんがあたしを追いかけたの、利人は知ってたんだ。


だから、自分は追いかけなくていいって思ったの?


あたしが一人にさえならなければ、それでいいんだね。

相手は誰だって────男の子でも。



また冷めた気持ちになる。


これで何度目かな。利人はあたしに興味がないってことを思い知らされるのは……。