だけどそれを素直に言えなかったあたしは……。
『利人が終わるの待つのだるいし、放課後くらいは自由にさせてよ。利人といると乃亜ちゃんとも遊べないから困るんだよね』
……なんて言い方をしちゃった。
改めて思い出すとサイアクな女。
過去の愚行にしょんぼりうなだれると。
「ねー……、菜結」
うなだれたあたしの頭を、ふいに利人が撫でた。
そして、ゆっくりと顔をのぞき込んでくる。
直後、体がカチンと固まった。
なんで?
しかも、どーして今のタイミングで?
ていうか、怒ってるんじゃ……。
「放課後は危なくないように、絶対友だちと一緒に帰るって約束。ちゃんと守ってんの?」
「え……あ……」
動揺のあまり上ずった声が出る。
「守ってるよ。乃亜ちゃんと、ほぼ毎日いっしょに帰ってる」
どうして今、そんなことを聞くの?



