体重が2倍になったんじゃないかと思うくらい重たい足どりで玄関に向かうと、なにやら黒いオーラを纏った利人が立っていた。
いつもは気だるさを全面に出してるくせに、今日ははっきりと瞳に怒りが宿ってる。
なんでなの。
今日はたくさん待たせたわけでもないでしょ。
だいたいね、怒りたいのはこっちなんだからね。
「………」
「………」
おはようの挨拶もなく、あたしたちの通学路が始まった。
何も話したくなかったはずなのに、いざ沈黙が続くと「なんか喋ってよ」と言ってしまいそうになる。
「……あの漫画、燃やしたら許さないからね」
痺れが切れて、ついには自分から声をかけちゃう始末。
面倒くさそうに視線を寄越されて、話し掛けたことを秒で後悔した。
しかも、いやな視線を寄越すだけ寄越してなにも言わないんだから頭にくる。
「返事くらいしたらどうなの」



