ねえ、今日が金曜日とかどうでもいいじゃん関係ないじゃん。

金曜日は頑張らなきゃいけないって決まりはないじゃん!




「今日ばっかりはムリ! なんです、利人と学校に行きたくないし」

「でしたら、ご自分でそう伝えられてください」

「うう……そんなあ」




家政婦さん──────家政婦のエリカさんは今日も厳しかった。



なんとか回避する方法はないかな、と思考を巡らせる。

そうだ。裏口から出たらいいかも。


ひらめいた矢先にスマホがブルっと震える。




【 いつも通り出てこないとあのエロい本燃やす 】


通知に表示されたメッセージはもはや脅迫状。



容赦ないな!もう!

燃やすだなんて。脅し方まで雑なんだから。


でも利人なら本当に燃やしかねない。

利人があたしの部屋に入ることを、お父さんも家政婦のエリカさんも認めてるし。



もしあの本を失ったら生きていけないの。
枯渇した心を潤してくれる最強の代物なんだから。