答えないでいたら、斉藤くんは何か察したのか、ふんふんふーんと心ここにあらずの鼻歌を歌い始めた。
話題転換を試みてる様子。
気まずい空気をつくってごめんね。
「そーだ。ごきげんよう、で思い出したけど。菜結ちゃんてお嬢様らしくないよね」
「あー……うん。それよく言われるかも」
「いい意味だけどね」
「いい意味?」
「大企業の社長令嬢なのに、気取ってなくて親しみやすくて〜、なにより、にこって歯を見せて笑うのがカワイー」
そういう斉藤くんも、にこって笑う顔、わんこみたいで可愛いよ。口には出さないけど。
それはそうと……。
「でもあたし女の子たちからワガママ女って言われてるし、友だちだって乃亜ちゃんしかいないよ?」
それはあたしがお嬢様っぽく気取ってるように見えるってことじゃないの?
「菜結ちゃんが女子から遠巻きにされてるのは、9割以上妬みだよ〜気にしなくていい」
「妬み?」
「お金持ちで可愛くて。さらに! お世話係とは言え、あの土屋利人と毎日一緒に登校してるんだからねえ」



