あたしが泣いてることに、クラスメイトたちが気づき始めた。
男の子たちが「菜結ちゃん大丈夫!?」なんて声といっしょに、わらわら集まってくる。
心配してくれるのは本当にありがたいけど、今はそっとしておいてほしい。
できれば、教室から出て誰もいないところに行きたい。
叶うなら家に帰って何もかも忘れるつもりで眠り倒したい。
「っ、うぅ……」
まるで子どもだ。恥ずかしい。
止めようとすればするほど嗚咽がこみ上げてきて、みっともない声しか出てこない。
「おい、これやばいんじゃねえの。誰か、2組の土屋に報告してこいよ」
ひとりの男の子の声に、びくっと肩が跳ねた。
あたしのお目付け役として、すっかりみんなの中で定着してるせいで、こういうとき必ず召喚されそうになる利人。
……ホント、可哀想だよね。
「やめて……利人は呼ばないで……。あと、このこと絶対言わないで、おねがい……」
必死に訴えると、困ったようにしながらもみんな頷いてくれた。
あたしはこれ以上人に迷惑がかからないように、こっそり教室を抜け出してトイレに泣きに行った。
─────だけど、放課後。



