「は……、ちょっと、えぇ!?」
どこまでも冷静な利人は、意識しまくりなあたしと正反対。
義務!って感じ。セク ハラ のせの字も感じない。
利人にとってのコレは、ただあたしの着替えに必要な布、みたいな認識でしかないってこと。
この温度差に、いつもしょんぼりしてしまう。
ていうか。よりによってピンクのマカロン柄。
子供っぽすぎた……。利人に見られるなら、もっと上品なもの持ってくればよかった。
「トースト、リビングの台に置いといたから、ジャムとか適当につけて食べな」
「作ってくれたの……?ありがとう」
「俺遅刻したくないから10分で支度して」
「が、頑張るね」
あたしの返事に軽く頷くと、ふらっと部屋を出ていってしまった。
いつも通りすぎる。
キスしたのって、もしかして夢なのかな……。
なわけないよね、だって、利人の体温とか全部、しっかり覚えてるもん。
利人にとって、あたしとのキスは大したことじゃなかったんだ……。



