へーそう、って。絶対信じてない冷たい反応をする利人。



「酒は飲んだ人間の本性を暴くって言うでしょ。つまり、栗田菜結はそーいう人間ってこと」

「っ、違う‼」



一瞬ドキッとした。
利人の言ったことはあながち間違ってない。



利人キスしたいって。他の誰でもなく、利人とキスがしたいって気持ちを暴かれてしまった。

あたしのキスする相手が誰でもいいって、利人が勘違いしてるだけで……。



考えすぎてしまうせいで言葉が出てこない。

勘違いされたままなのは悲しいけど、誤解を解く上手いセリフも思い浮かばない。どうしよう。



歯磨きの手も止まってしまったあたし。
うがいをして既に歯磨きを終えた利人。



今度は鏡越しじゃなくて、直接。無理やり目を合わせてきた。




「お前をしつけるのが俺の仕事なの」

「っ、うん」


「なゆ、新しい約束」

「え?」


「キスは、本命と俺だけ。わかった? お前はね、安い女じゃねーの」