今になって「やっぱり無理」って言われるのが怖くて、利人がNOって言えないようにする方法を考えてるんだよ。
こっちは必死なの。
「ねえ、利人もウイスキーバンバン食べて」
「いいけど」
「……」
「どうせ、食べてもなゆみたいにはなんないし」
うう……利人を酔わせてキスを狙う作戦は、バレバレなのね。
それでも、一回我慢を忘れたあたしにはもうストッパーが存在しない。
「利人、キス……」
「……」
「したい、……練習」
「……」
「正気だよ、チョコ関係ないよ」
「……」
「お願、」
不自然なところで自分の声が切れたのは、突然目の前が暗くなったから。
振り向いた利人の影が落ちてきて、そして――。
「うるさい」
「っ、…ん」
唇に。
柔らかくて、でも、確かな感触。
思考回路は寸断。
代わりに、脳がびりっと甘く痺れた。