「じゃあ利人、やっぱりキスしてくれないの?」
「酔いが醒めても、俺に同じこと言えんの?」
「言える! ……だって、したいもん……」
「……とりあえずパーカーを着ろ」
何度目かのため息。
視線が、ぬれーっとあたしから離れていく。
しかたがないから従うことにする。
「パーカー着たよ」
「じゃあ次は水飲んで。たっぷり」
「……わかった」
とにかくあたしの酔いを醒ましたいらしい。
どうにかしてキスを免れようとしているとしか思えない……。
期待させておいて、その気にさせておいて。それはひどいんじゃないの。
「もしあたしが正気に戻ってもキスしたいって言ったら、してくれるんだよね?」
いつもに増してかなり積極的かつ図々しいあたしは、利人の言う通りウイスキーバンバンとかうモノに酔わされているらしい。
そこは認めてあげてもいいけど……。



