ち……、近っ!
顔がぶわーっと熱くなる。
ほんとにキスしちゃうのっ?
利人はそれでいいの?
好きじゃない相手とキスして、平気なの……?
「利人……どうしたのいきなり」
「したいんでしょ。キス」
「え……ぅ、したい……けど」
瞳の中に吸い込まれて、ドクリ。
目の前に影が落ちると、もう無理だった。
バクバク鳴り響く心臓に思考すらかき消されて、ぎゅっとまぶたを伏せる。
だけど、それから少し待ってみても、唇が触れることはなく……。
しびれを切らして目を開けようとした寸前、おでこにバチン!と衝撃が走った。
「痛……。利人、今のデコピン?」
「なんでもいいだろ。まずはパーカー着んのが先」
「え……、なに、もしかしてからかったの?」
「からかうだけで済むならいいけどな」
「……?」
「もたもたしてると襲うよ」
「襲う!?」



