涙が流れちゃわないように耐える。
「急にあつくなって脱いじゃって……ちゃんとしなきゃって思ったんだけど、猛烈に眠くて、……あと、だから、抱きついてごめんなさい……」
そう言いながら、文脈がおかしいことは、なんとなくわかった。
でもあたしは利人に嫌われたら生きていけないから。
とにかく謝らないとって気持ちが先走って……。
「……きらいにならないで、おねがい」
次の瞬間、目いっぱいに溜まった涙があっけなく零れた。
そんなあたしを見て、利人は長いため息をつく。
「お前は、コレを数個食っただけでこうなるわけね」
突きつけられたのは、さっき食べたチョコの包み紙。
「これが他の男の部屋でも関係ナシに暑いからって服脱いで、甘えて、抱きついて……。どう考えても最悪」
「……利人、」
「ほんとしつけが足りないね。お前、一回痛い目見せてやろうか」
一度はあたしから離れた利人が、ソファのそばにかがみこんだ。
「いっそ、この部屋から一生出れないようにしたらいいのかな」
ぼそっとなにか言われたけど、低すぎて聞き取れない。



