「ねえ利人」


お風呂場に向かって声をかける。



「テーブルの上のチョコ食べていい?」


返事はなし。聞こえてないのかも。

まあ、一個くらいなら貰ってもいいよね?


キャンディ包みになってる両端をきゅっと引っ張って中身を取り出した。


まあるいチョコ。

名前は英語表記だから読めないわからない。



「いただきまぁす」


口に入れたとたん、控えめで上品な甘さが広がって。

ふうん、まあまあ美味しいじゃん……と思って舐めてたら。



「っ、ンウ⁉」


突然、舌の上で、丸い形状のそれがぼろっと崩れた。

硬い感触の中から、どろっとした液体が溢れてくる。びっくり。

でも、中の液体をよく味わってみると、苦いような甘いような、なんとも絶妙な味がクセになることに気づいてしまった。