「……利人、お風呂ありがと」


午後9時。土屋家のリビングにて。


声をかけたけど、特に反応はなく。

ソファに座って長い脚をだらりと投げ出しながら、視線だけをこちらに寄越してくる利人。


ラフな部屋着。片手にスマホ。

くつろぎモード全開なのに、どことなく色気を放ってる気がするのは……ど〜して!



学園の生徒会長様のこんなにゆるーい姿を拝めるのは幼なじみの特権。

彼女になったら、あんなカオやこんなカオまで見れるのかな……。


そんなヨコシマな感情はいったん手放して、あたしは利人の座るソファに、ひとり分の距離を空けて腰をおろした。



「利人、あとでドライヤー貸して」

「うん」

「………」


会話中にこっちを見もしないなんて、不躾な。