直後、あたしの体からサアアアッ……と血の気が引いていく。
「だ、だめ……っ。言わないで、お願い‼」
相手の緩んだネクタイあたりを掴んで必死に懇願すると、不機嫌を宿してた瞳が、すうっと怪しく細められた。
「そんなに知られたくない?」
「うん、言わないで……。利人、お願い。ぜったいだよ」
「じゃあ、俺の言うこと全部聞く?」
「聞くよ……ちゃんと聞く。だから、言わないでね?」
すぐに「わかった」って言わないのが利人の憎たらしいところ。
試す目つきであたしを見て、結局、最後までうなずくことなく歩き始める。
「ねえ、利人。ほんとーにほんとーに言わないよね?」
「さあ?」
「さあ、って! ちゃんと断言してよ!」
「なゆが、お利口さんにしてる間は言わない」
「あたしお利口さんだよ?いつも」
「そのナカ見えそうなスカートでよく言う」