今掛けるのは迷惑かもしれないけど、あたしの今日の情緒がかかっているので許してよね。
繋がれ、と思いながら受話器マークをタップする。
呼び出しの音楽がしばらく流れて。
5秒、10秒────。
もうだめかと諦めたとき、音がプツリと途切れた。
『どうしたの?』
あ、これは……。
あたしといるときより0.5トーン高くて、柔らかい、生徒会長モードの声だ。
すぐ近くに、誰かがいると見た。
「……利人、今日生徒会だったの?」
『そうだけど……なに? 大した用じゃないならラインに送っといて』
口調は柔らかいのに、言葉の節々にトゲがある。早く切りたそう。
なんでなの。昨日はあんなに甘えてきたのに。
「あたしの漫画返してよ……」
急に弱気になって、語尾も小さくなった。
あたしがそう言ったとほぼ同時に、スマホの向こう側からザザーッという雑音が聞こえた。
『ひゃっ……利人くん、今日風強いねえ〜?』



