うう、これは……かなりの手練だ。
支配されるみたいな──────利人のものにされるみたいな夢心地の錯覚。
こんなのだめだよ。
こんなことされたら、みんな利人に落ちちゃうよ。
しばらくして唇が離れても、利人は腕を解かなかった。
背中をゆっくり撫でられているうちに、今度は眠気がやってくる。
「なゆ、眠い?」
「……う…ん…」
返事をしたとたんに、プツリと世界が真っ暗になった。
包む低い体温は、昔からあたしを安心させてくれる。
「……、おやすみ」
優しい声を聴きながら
一晩中
甘い夢を見た。
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