───支配される。
こんなのいやなのに、おそろしいほどの甘い感覚があたしを離してくれない。
「利人、も、むり息できなっ……」
「そう。なら、もっとしよっか」
「っ、ぇ、なんで、」
「この苦しいって感覚、よく覚えといてね」
「んっ……うぅ」
やがて意識がもうろうとしてきた。
しばらくして唇が離れても、利人は腕を解かなかった。
背中をゆっくり撫でられているうちに、今度は眠気がやってくる。
「菜結、もう限界?」
「……う…ん……」
返事をしたとたんに、プツリと世界が真っ暗になった。
「……、おやすみ」
そんな声と同時、おでこに柔らかい感触がした。
あれ……? これ……なんか前にも……。
意識はそこで完全に途切れる。
その夜は、ずっと甘い夢をみていた気がする。



