「止まった?」

「そ、そんなすぐには止まんないよ」

「……おまえ、さあ」



突然。

甘えるように密着してきた利人に、今度は、心臓が止まりかけた。



「昔から体温高い……よね」

「っ、……」


────ま。

待ってえええ。あたしの肩に頭乗っけてきたんですけどっ、バクハツしちゃう心臓!


だめ、冷静になんないと。
幼なじみなんだし、このくらいするのは普通なんだから。


てゆーか、あたしの体温がトクベツ高いわけじゃないの。



「利人の平熱が低いからだと思う、」

「そうかな」

「そ〜だよ……。昔からいつも36℃ないでしょ?」



返事の代わりに、さらに隙間を埋めるように後ろから密着される。

もはや吐きそう。


昔はよく、くっついて眠ってて。
それが当たり前だったけど、高校生にもなると、もう“完全に男の人”だから……。



「思い出した。……俺、菜結抱きしめてると眠くなるんだった」