あまりの急展開に、鼻血はとどまるところを知らない。
どうしようもなくなったあたしに、利人は呆れ顔でティッシュを差し出した。
「あーあー、お前が早く座んないから……」
「うー……」
「俺の手どれだけ汚す気」
わざとらしい責め口調。
それに負けて、やっと、どうにか腰を下ろす。
「そう、大人しく座ってればじきに止まるから」
耳元で囁かれると同時に、後ろから腕を回されるとドッと心臓が飛び跳ねる。
これ、ぜったい耳まで赤くなってるやつ〜〜……っ。
「利人、目、閉じてて……」
「なんで」
「後ろから見られてるって思うと落ち着かないの……」
「はいはい」
ねえ、そうやってテキトウに返事を済ませるじゃん。
ぜったい目閉じてないじゃん。
「………」
「………」
利人の体温。
重なった背中があつい。



